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1369食目「わんちゃんだって糖尿病になります」犬の糖尿病

「わんちゃんだって糖尿病になります」犬の糖尿病【適材適食】小園亜由美(管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ)糖尿病専門・甲状腺専門クリニック勤務@福岡姪浜・福岡天神

糖尿病はヒトだけの病気ではありません。わんちゃん、そう犬も糖尿病になります。

そもそも糖尿病ってどんな病気なのでしょう。

糖尿病は、インスリンが十分に働かないために、血液中を流れるブドウ糖という糖(血糖)が増えてしまう病気です。インスリンは膵臓から出るホルモンであり、血糖を一定の範囲におさめる働きを担っています。

血糖の濃度(血糖値)が何年間も高いままで放置されると、血管が傷つき、将来的に心臓病や、失明、腎不全、足の切断といった、より重い病気(糖尿病の慢性合併症)につながります。また、著しく高い血糖は、それだけで昏睡(こんすい)などをおこすことがあります(糖尿病の急性合併症)。
ここでは糖尿病についての基本的なお話をします。

*さらに糖尿病についての詳しい内容を知りたい人は以下をクリック。

糖尿病とは | 糖尿病情報センター

 では、犬の糖尿病とヒトの糖尿病に違いはあるのでしょうか。

犬の糖尿病とは

糖尿病は、糖(グルコース)を血中から細胞へと十分に取り込めないことにより、高血糖や尿糖が持続している状態です。

犬の糖尿病は、インスリン分泌量が少なくなっているインスリン依存性糖尿病がほとんどです。
インスリンは膵臓のβ細胞から分泌されており、犬の糖尿病ではこのβ細胞が傷ついたり疲弊したりすることによってインスリンを分泌できる細胞が少なくなり起こるといわれています。なお、犬の糖尿病は生涯インスリンの治療を必要とします。

糖尿病|ペット保険のFPC

↑ここに書かれている内容だけ見ると、ヒトと変わりありません。さらに続きも転載しておきます↓

犬の糖尿病の症状

糖尿病の特徴的な症状として、尿量が著しく多くなり水をよく飲むようになります(多飲多尿)。初期には食欲が増え多食になります。ただ、この段階で病気の症状だと認識できないことも多いです。
見た目に分かりやすい変化として、短時間で白内障になることがあり、これにより糖尿病が発見される例もみられます。
病状が進行すると食欲や元気がなくなります。

糖尿病が進行すると糖尿病ケトアシドーシスという状態になります。これは非常に危険な状態で、集中的な治療を行っても命が助からないこともあります。

<犬の糖尿病の症状>
・多飲多尿
・食欲増進(初期)
・体重減少
・食欲不振
・元気消失
・白内障(急性)
・脱水
・嘔吐
・下痢
など


犬の糖尿病の原因

糖尿病のはっきりとした原因は分かっていません。さまざまな要因が関わっていると考えられます。

糖尿病の発症に関わったり、制御が難しくなったりする要因として、
・インスリンの分泌が少なくなる直接的な原因となるもの
・インスリンが効きにくくなる原因となるもの
があります。

インスリンの分泌が少なくなる直接的な原因となるもの
インスリンを分泌する膵臓のβ細胞がインスリンを分泌できない状態になるものです。
インスリン分泌が少なくなる原因として、以下のようなものが挙げられます。

<インスリン分泌が少なくなる原因>
・先天的なβ細胞の形成不全
・膵炎や自己免疫異常によるβ細胞の破壊
・持続的なインスリン抵抗性によるβ細胞の疲弊
など

インスリンが効きにくくなる原因となるもの
インスリンが効きにくい状態をインスリン抵抗性と呼び、インスリン抵抗性が持続するとインスリンを分泌する膵臓のβ細胞が疲弊し、最終的にインスリン分泌が少なくなります。
インスリン抵抗性が発現する要因として以下のようなものがあります。

<インスリン抵抗性となる要因>
・発情期/ 妊娠
・クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)
・ステロイド
・酢酸クロルマジノン
  ※前立腺肥大症に使われることのある薬
・子宮蓄膿症
・感染
  -膀胱炎や腎盂腎炎など
・甲状腺機能低下症
・高脂血症
・腎不全
など

糖尿病の検査には以下のようなものがあります。

<糖尿病の検査>
・血液検査
・尿検査
・眼科検査(白内障の場合)
・超音波検査
など

他には、糖尿病を確定するためや治療が上手くいっているかを調べるために過去数週間の血糖値の程度が分かる血液検査(外部機関に依頼)を行うことがあります。
腎臓の障害により尿糖が出ているときなどもあるので、高血糖(空腹時)と尿糖どちらも確かめます。これらの検査結果と今までの症状などを合わせて診断されます。

また、糖尿病では腎不全や感染を起こしやすくなるので、腎不全や膀胱炎などがないかも調べられます。糖尿病を起こしやすいクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)、甲状腺機能低下症、膵炎などの病気も検査されます。
糖尿病にはさまざまな合併症があり、いろんな病気が隠れている可能性があります。その病気が治療の妨げになることもあるので、必要な検査をその都度行います。

糖尿病|ペット保険のFPC

実際に糖尿病になった犬の話を見つけましたのでコメントを交えながら以下に転載します。

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糖尿病の犬を引き取り治療。ガリガリだった犬は見事に健康体に変身!

保護センターに1匹の成犬が保護されました。痩せていても食欲はあったのですが、食べても食べても体重が増えていきません。動物病院での検査では糖尿病だったのです。治療として毎日のインスリン注射が必要だったので、ボランティア団体を通して我が家で終生で引き取った犬のお話です。

糖尿病の犬を引き取り治療。ガリガリだった犬は見事に健康体に変身! | わんちゃんホンポ

食べても食べても体重が増えない。それはインスリンの分泌量が少なくて十分なエネルギーが取り込めてなかったのかも知れません。そしてこの犬は毎日インスリン注射をしなくてはいけなかったのです。

その犬の状況
推定年齢8歳から10歳くらいの雑種の犬ですが、保護された時には身体がガリガリに痩せていました。保護された時から食欲はあったのですが毎日完食する割には体重が増えていかなかったのです。そこで動物病院で検査をしたら、糖尿病との結果が出ました。血糖値の値が異常に高く、直ぐにでもインスリン注射が必要です。そこで、暫くは保護センターで1日2回の投与が始まったのですが、それ以外でも食事の管理が必要になってきました。まずは体重を増やさなくてはならず、ただフードを増やすだけではカロリーオーバーになって血糖値が低くならないので、毎日のフード管理が必要でした。

糖尿病の犬を引き取り治療。ガリガリだった犬は見事に健康体に変身! | わんちゃんホンポ

食欲はあるのにガリガリ。血糖値は異常に高いのに、体重が増えない。血管がダメージを受けていたのかも知れません。

そして『ただフードを増やすだけではカロリーオーバーになって血糖値が低くならないので、毎日のフード管理が必要でした』とあります。食べるものを管理しなくてはならない状況。当時いい状態だったとは言い難い状況だったのでしょう。

その犬を引き取るまで

暫くは保護センターで、インスリンを投与されていましたが、それでもなかなか体重が増えていきませんでした。いつもご飯は完食するのですが、食べるのがとても早く差し出したら直ぐに食べきってしまうのです。いわゆる早食いで、できれば少しずつ与えた方がいいのですが...たくさんの保護犬や猫がいるセンターでは、この子だけに長い時間はかけられません。そこで糖尿病の治療と食事管理を徹底する意味で、我が家で終生で引き取りました。

糖尿病の犬を引き取り治療。ガリガリだった犬は見事に健康体に変身! | わんちゃんホンポ

「早食いは控えましょう」何故か。お腹の空いている時に食事を摂るとカラダが反応してインスリンが出てきます。そして低かった血糖値が一気に上がります。血糖値の急激な上昇はカラダに大きな負担です。

食物繊維を食事の最初に食べることを勧められる理由のひとつに「血糖値の急上昇を抑える働きがあること」があります。

現在のその犬との生活

我が家で預かって3年位経ちますが、体重は少しずつ増えていき、だいたい適正体重に戻ってきています。血糖値の方は毎日2回インスリンを注射していますが、安定している時期とそうでない時期があります。でも体調はいいようで散歩の時には小走りで走ったりできます。ご飯は一度に与えると早食いするので、1食分を5~6回くらいに少しずつ分けて食べさせるようにしています。時間はかかりますが、こうするとゆっくり食べることができます。毎日のインスリン注射は嫌がることもありません。糖尿病には適度な運動も必要なので、毎日2~3回散歩に連れ出しています。あまり長い距離は歩かずに、回数を増やして行っています。

糖尿病の犬を引き取り治療。ガリガリだった犬は見事に健康体に変身! | わんちゃんホンポ

まず適正まで体重を戻しそれをキープ。インスリンは2回、たぶん食事の前なのでしょう。ご飯は1食分を数回に分けることで早食いを防止。そしてお散歩、しかも小走りで走っているようです。

私たちヒトと何ら変わらないインスリンという薬物療法と食事療法と運動療法です。

その経験を通して

糖尿病の犬を預かるのは初めての事です。最初は上手にインスリンを打てるのか、食事管理はできるのか多少不安でしたが少しずつ体重が増えていって元気になってくる姿を見ていると預かって良かったと思います。毎日のお世話は多少大変なところはありますが、元気な姿を見れることはとても幸せです。

糖尿病の犬を引き取り治療。ガリガリだった犬は見事に健康体に変身! | わんちゃんホンポ

この犬を預かった人は凄いです。しっかり糖尿病治療をやっています。本当に凄いと思います。

 

他にも犬の糖尿病について書かれた記事も貼っておきます↓

 

★モゥー!ポイント★

ヒトも犬も糖尿病の治療については同じなんだな、と改めて思いました。

ただ1点大きく違うことに気づきました、それは「犬は話すことができない」そして「言葉を理解できない」ということです。  私たちは言葉を交わすこと、会話をすることができます。

ーーー何のために、どういう治療をしているのか。

ーーー今どんな状況なのか。

ーーー何が好きで何が嫌なのか。

ーーーどうしたいのか。

すべて言葉で伝えることができます。糖尿病を治療する上で、言葉を交わし合うことの大切さを、わんちゃんに再確認させてもらった気がします。

「わんちゃんだって糖尿病になります」犬の糖尿病【適材適食】小園亜由美(管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ)糖尿病専門・甲状腺専門クリニック勤務@福岡姪浜・福岡天神

でもわんちゃんは言葉が例え判らなくても、飼い主から何かを受け取っているのでしょう。信頼関係があるからこそ、なのかも知れません。これもわんちゃんに大切なことを教えてもらった気がします。

 

ー 適 材 適 食 てきざいてきしょく

小園 亜由美 (こぞのあゆみ)管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・日本化粧品検定1級

毎日更新!たべものブログ【適材適食】小園亜由美(管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・日本化粧品検定1級)糖尿病・甲状腺専門クリニック勤務@福岡姪浜・福岡天神

*1 

*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。