今週のお題「体調が悪いときの過ごし方」
毎月季節の果物を紹介するシリーズ★ その名も「旬の役果」。
私は健康なカラダづくりに役立つ果物を【役果やくか】と呼んでいます。季節ごとに旬を迎える果物が持つ特徴的な栄養や成分を充分に引きだして美味しく楽しく頂きましょう。11月の役果はカリンです。
カリン
カリンの旬は10月下旬〜11月下旬です。
カリン(花梨、花櫚、榠樝、学名: Pseudocydonia sinensis)
バラ科カリン属の落葉高木である。中国から日本へ渡来した薬用にもされる果樹で、果実は同科のマルメロとよく似る。その果実は石細胞が多く含まれるため硬く生食はできないが、カリン酒や砂糖漬け、のど飴などの原料にはなる。
↓こちらはクリニックに届いたカリン。毎年10月末から11月初あたりの恒例となっています。
カリンと言えば、のどあめをイメージする人は多いと思います。
薬用としてのカリン
カリンの薬用
果実は榠樝(めいさ)と称して薬用にする。土木瓜(どもっか)、和木瓜(わもっか)とも称する。秋9 - 10月ころに、黄変する前の未熟果で淡緑色のものを採集して、輪切りにしたもの陰干して調製し生薬とする。中国では、約2000年前から漢方薬として使われてきた。民間療法で咳止め、吐き気に利用し、榠樝を1日量3 - 5グラム、水400 ccに入れて煎じて3回に分けて服用する用法が知られる。中国では酔い覚まし、痰切り、順気、下痢止めの効用があるとされている。咳止め、疲労回復にはカリン酒を毎日、盃1 - 2杯のむとよいといわれている。ハチミツ漬けを1日2 - 3回、小さじ一杯程度を湯に溶いて飲むのもよい。痰が絡むような咳に良いといわれており、服用する者の体質は問わないとされている。のど薬として「カリンのど飴」というものも市販されている。
漢方の医学書『名医別録』などには関節炎、脚気を主治し、鎮痛、鎮咳、利水薬としての効能が書かれています。『日本薬局法外規格集』にも収載されています。成分はサポニン、果糖、リンゴ酸、カロチンアミグダリンなどで、喉の炎症などの原因とされる黄色ブドウ球菌に対して、強い抗菌作用を示すともいわれています。
2000年も前からカリンは漢方薬として利用されてきたんですね。
ただし、
果実に含まれるリンゴ酸やクエン酸には、鉄分の吸収を促進する作用があるといわれ、疲労回復に役立つと考えられている。
種子にはわずかにアミグダリンを含んでおり、消化管内で腐敗発酵の防止に役立ち、吸収後は中枢神経に作用して、咳止めに役立つといわれている。
ただし、アミグダリンは加水分解により猛毒のシアン化水素も発生するため、国立健康・栄養研究所などが注意を呼びかけている。
食べ過ぎにはくれぐれも注意が必要なようです。
カリンののど飴
カリンののど飴にはどんな成分が含まれているのでしょうか。
代表的な成分を調べてみました↓
カリンののど飴
国産カリンエキスをはじめ、13種厳選ハーブエキスなど自然由来の素材のおいしさを1粒に詰め込んだのど飴砂糖(国内製造)、水あめ、ハーブエキス、カリンエキス/香料、カラメル色素、酸味料
栄養成分 栄養成分表示 1パック当り:
エネルギー・・・・・・232kcal
たんぱく質・・・・・・0g
脂質・・・・・・・・・0g
炭水化物・・・・・・・58.0g
食塩相当量・・・・・・0.006g
よく「喉にいいから」とカリンののど飴をたくさんなめている人がいます。が、成分に水飴が多く入っているためエネルギーが高いので「なめすぎ注意」です。
カリンの栄養成分
カリンののど飴では無く「カリン」本体の栄養成分を見てみましょう。
カリン(生)100gあたりに含まれる主な栄養価
- エネルギー・・・・・・・・・58kcal
- たんぱく質・・・・・・・・・0.4g
- 脂質・・・・・・・・・・・・0.1g
- 炭水化物・・・・・・・・・・18.3g
- 食物繊維・・・・・・・・・・8.9g
- カリウム・・・・・・・・・・270mg
- ビタミンC・・・・・・・・・25mg
カリンの栄養の特長
食物繊維
便通を整えるために欠かせない成分として知られていますが、それ以外にも脂質や糖、ナトリウムなどを吸着して排出する働きもあります。カリウム
カリウムには、体内の余分なナトリウムを排出する働きがあります。筋肉の収縮や神経の働きにも密接にかかわる重要なミネラルのひとつです。ビタミンC
ビタミンCは強い抗酸化作用を持ち、活性酸素の発生を抑えたり、取り除く働きがあります。また、コラーゲンの生成に欠かせないビタミンとしても知られています。
カリンは食べられない?!
実はカリンは生では食べられない?!そうです。
生で食べられない果物?
バラ科カリン属であるカリンは、中国が原産の果実です。果物に分類されますが、その果実は非常に硬く、生のまま食べることはできません。カリンの選び方と栄養素|買い物で役立つ基本の「き」 | クラシル
カリンの味や特徴は
カリンは果物と言っても、果肉に「石細胞(せきさいぼう)」があるため実は非常に硬い上、味も非常に渋くて生では食べることはできません。
ちなみに「石細胞」とは、
石細胞(せきさいぼう、stone cell)
厚壁異型細胞(こうへきいけいさいぼう、英語: sclereid、スクレレイド)の一種。この記事では、石細胞を包含するスクレレイドについても述べる。スクレレイドとは、ほとんどの植物において、耐久性のある層の小さな束を形成する、高度に肥厚し、木化した細胞壁を持つスクレレイマ(英語版)細胞の縮小した形態である。細胞壁にリグニン、スベリン、ペントサン(英語版)、結晶化したセルロース、シリカ(プラントオパール)などの物質が蓄積し石のように硬くなったもの。細胞壁が厚く発達し木に近い状態に変化(木化)しており、細胞自体は死んでいる場合が多い。
概要
通常石細胞は植物の皮などに存在し、野菜や果物の皮の部分に多く存在するが、ナシ、グアバ、フェイジョア、バンレイシ(別名 釈迦頭)、マルメロなどは果肉に多くの石細胞を蓄積している。植物の表面に存在する石細胞の役割は組織を固くし保護するためといわれているが、ナシの果肉に存在する石細胞の役割はよく分かっていない。果実の食感を生み出すスクレレイド
多数の石細胞が存在することでリンゴの芯が形成され、また、人間が食べた時の食感に影響しており、ナシのシャリシャリ感やバンレイシの砂糖を噛むようなジャリジャリした食感、グアバのギトギトした食感は石細胞によるものである。また石細胞は人間の胃腸では消化されない。スクレレイドという用語は、1885年にアレクサンダー・チルヒ(英語版)によって導入された。
石細胞で硬いのは困りますが、そのおかげで「シャリシャリ感」を感じる事ができるんですねー。
美味しいカリンの見分けかた
全体が黄色に色づいているもの
全体がムラなく黄色に着色しているカリンは、完熟している証拠です。反対に、黄緑色がかったカリンは未熟なため、追熟が必要です。風通しのよい所に常温で置いておくだけで追熟させることが出来ますよ。ずっしりと重みを感じるもの
カリンの実がふくよかで、ずっしり重みを感じるものを選びましょう。小さいものは、実も少ないものがほとんどです。手にとって重量感を確認してみましょう。
カリン特有の甘い香りを感じるもの
カリンは、完熟するとフルーティーで甘い香りがします。強く香りが漂うものを選びましょう。しっかりと香るカリンを使うことがおいしい砂糖漬けやカリン酒を作るポイントですよ。ハリとツヤがあるもの
カリンの表面に、ハリとツヤがあるか確認しましょう。傷が多いものや穴が空いているものは避けましょう。虫食いの可能性があります。
★ぴょん!ポイント★
カリンはどうやって頂けばよいでしょう。
砂糖漬けやカリン酒としてカリン特有のフルーティーな香りを楽しんだり、成分を重視してのど飴のような加工品に利用されています。
カリンの選び方と栄養素|買い物で役立つ基本の「き」 | クラシル
カリンの最大の特徴は独特の芳しい香りです。この香りを楽しんだり、香りや薬用成分を抽出するなどの使い方をします。最も一般的なのが、カリンシロップやカリン酒といった用途でしょう。
カリンの食べ方・おすすめレシピ
硬くて渋みがあって生食には適しませんが、シロップやジャム、はちみつ漬け、果実酒等の加工で楽しめます。
カリン酒のつくりかた↓
手作りに挑戦♪ カリン酒の作り方のレシピ動画・作り方 | DELISH KITCHEN
これから空気が乾燥してくる季節がやってきます。そんな時にちょっとだけカリン酒、いいかも知れません。カリンの美味しい季節、ぜひお楽しみください。
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)
管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・病態栄養専門管理栄養士・日本化粧品検定1級
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。