今週のお題「秋服」
毎月季節の野菜を紹介するシリーズ★ その名も「旬の役菜」。
私は健康なカラダづくりに役立つ野菜を【役菜やくさい】と呼んでいます。季節ごとに旬を迎える野菜たちが持つ特徴的な栄養や成分を充分に引きだして美味しく楽しく頂きましょう。11月の役菜はギンナンです。
ギンナン
ギンナンの旬は9月〜11月です。
「ギンナン」
種子は銀杏(ギンナン)と呼ばれるが、11世紀前半に上記「鴨脚子」から入貢のため改称され、用いられるようになったと考えられる。明代李時珍著『本草綱目』に記載されている「銀杏」は、銀杏の初出が呉端の『日用本草』(1329年)であるとする。漢名の「銀杏」は種子が白いためである。「銀杏」の中世漢語はiən-hiəngであり、銀杏の唐音である『ギンアン』が転訛し(連声)、ギンナンと呼ばれるようになったものと考えられる。
つまり、イチョウの木の果実、ということになります。イチョウが色づくととても綺麗ですよねー。
以前、北海道で観た銀杏並木はとても幻想的で美しかったです。
ギンナンのあの独特なニオイの原因
黄色くなったイチョウの木々は美しいのですが、問題は足元、ですよね。落ちたギンナンが踏まれてしまうと、何とも言えない強烈なニオイを放ちますよね。あのニオイの原因って何でしょう?
ギンナンのあの独特なニオイの原因
実は、あの悪臭の秘密はぎんなんの「皮」にありました。ぎんなんの皮には「酪酸」「エナント酸」と呼ばれる物質が含まれています。「酪酸」は、人間の皮脂から発する汗臭い臭い。「エナント酸」は、腐った臭いを放つ油のような液体。このふたつの酸が混じり合うことで、強烈な臭いが発生していたのです。
今が旬のぎんなん。でも、なぜあんなに臭いの?(季節・暮らしの話題 2018年11月04日) - 日本気象協会 tenki.jp
銀杏はなぜ臭い?
銀杏があれほどに強烈な悪臭を放っているのは、動物に食べられないようにするためなんだそうです。つまり銀杏は悪臭を放ち、動物を追い払っているのです。 この悪臭の原因は、「酪酸」と「エナント酸」と呼ばれる成分によるもので、「酪酸」は別名「ブタン酸」とも呼ばれ、人の足の悪臭と同じ成分で、鼻につくような臭いがあります。
また、「エナント酸」は腐敗物のような悪臭を持つ油状液体で、腐った油の臭い成分の一部です。 この二つの物質が混ざり合うことで、あの思わず鼻をつまみたくなるような臭いを作り出しています。この匂いのお陰で、木の実が大好きな日本猿やネズミでさえも銀杏には寄り付かないそうです。
ちなみに、銀杏を踏んでしまい臭いが靴についてしまった時は、重曹を溶かした水に数時間つけておけば、脱臭効果の高い重曹の働きによって臭いが取れるそうです。もしも銀杏を踏んでしまったら、是非試してみてはいかがでしょうか。【コラム】銀杏の独特の臭いの理由とは|委託給食会社の(株)MOSウイング 福岡県北九州市|福祉施設、病院、幼稚園、工場、社員食堂などの給食委託・請負
酪酸とエナント酸があのニオイの原因のようです。
酪酸(らくさん、英: butyric acid,英語発音: [bjuːˈtɪrɪk ˈæsɪd])
IUPAC名ブタン酸 (英: butanoic acid) もしくはn-ブタン酸 (英: n-butyric acid) は、分子式 C4H8O2、示性式 CH3(CH2)2COOH の直鎖カルボン酸である。構造異性体にイソ酪酸 (CH3)2CHCOOH がある。哺乳類は極微量でも酪酸の臭いを探知することができ、イヌでは 10 ppb、ヒトでも 10 ppm まで感知することができる。特有の不快臭を有する。
エナント酸(エナントさん、enanthic acid)
炭素数7のカルボン酸で、末端にカルボキシル基を持つ。IUPAC名はヘプタン酸 (heptanoic acid) である。腐敗物のような悪臭を持つ油状液体で、腐った油のにおいの成分の一部である。水には溶けにくいが、エタノールやエーテルには良く溶ける。消防法による第4類危険物 第3石油類に該当する。香料として使われるヘプタン酸エチルなどのエステルの合成に用いられる。銀杏では酪酸と並ぶ腐臭の主成分である。タバコの添加物のひとつでもある。
と、原因は判りました。判ったとしても嫌なニオイには変わりありません。なんであれほどのニオイなのでしょう。面白い記事を見つけました↓
動物退散!! イチョウは臭い作戦で太古から生き残ってきた?
ぎんなんの種皮は、おそろしく臭いばかりか、肌に触れるとかぶれることがあります。拾うときは素手ではなくビニール手袋などをつけてくださいね。それにしても、黄色く目立ってジューシーで、まるで「美味しいから食べて♪」と誘っているように見せかけながら、近寄ると臭くて有毒成分さえ含んでいるという、この謎対応。たいていの野生動物は、臭いに怯えてピュ〜と退散! サルはキャッと悲鳴を上げるレベルといいます。そんなことで植物として繁殖できるの!?
じつは、臭さにひるむことなくぎんなんを食する動物が、少数ながら存在するようです。胃の中からたくさんのぎんなんが発見されたタヌキの例も。何でも食べちゃう雑食王として知られるタヌキですが、ぎんなんを好んで食べているのか単に分け隔てなく食べているのかは、不明です。
一説には、イチョウがぎんなんから悪臭を発するのは、根こそぎ食べ尽くされないようにするためともいわれています。たしかに、もしぎんなんがいい香りだったら…サルたちが集団でやってきて根こそぎかぶりつき、種は全部その辺に捨てられて広がらなかったかも? イチョウは、2億年を生き残ってきた最古の木で「生きた化石」と呼ばれています。繁殖するためにターゲットを絞って食べてもらう「臭い作戦」が成功した証しでしょうか。
恐竜はぎんなんが大好物で、皮ごとモリモリ食べていたようです。フンと一緒に種があちこちにばらまかれ、イチョウは繁殖! 氷河期に恐竜とともに絶滅しかけましたが、中国の一角で生き残ったただ1種類のイチョウが、驚きの生命力で世界中に増え育ち、現在に至ったといわれています。
日本では、お寺や神社にイチョウの古い木が多いことから、まず薬として中国からぎんなんがお坊さんによってもたらされ、お寺などを中心にまかれた種が育ち、日本中に広まったのではと考えられています。ヨーロッパに伝わったのも、江戸時代に日本に来た博物学者ケンペルが長崎の出島で初めてぎんなんを食べ「この松の実のような味がする実がなる木を、ぜひ見たい」と切望したのがきっかけ。街路樹として世界で大活躍しているイチョウですが、その始まりをつくったのは、ぎんなんの魅力だったのですね。
本当かどうかは判りませんが、なるほどっ!って思ってしまいました。
ギンナンには中毒がある!
でもギンナンは食べ過ぎると中毒を起こすことがあります。
ギンナン中毒
イチョウは中国原産の落葉樹で、夏から秋にかけて果実が黄色く熟します。この果実には特有の悪臭があり、触れると外果皮に含まれるビロボールが原因でアレルギー性皮膚炎を起こすことがあります。この外果皮を取り除き、かたい殻の中にある淡い黄色の部分をギンナンとして食用とします。特徴
症状
通常食用としますが、一度に多く食べると、おう吐、下痢、呼吸困難、けいれんなどを起こすこともあります。ギンナンを約7時間でおよそ50個食べ3時間後に全身性けいれんを起こした1歳の男児、50~60個食べ7時間後におう吐、下痢、9時間後に全身性けいれんを起こした2歳の女児、60個食べ4時間後からおう吐、下痢、両腕のふるえを起こした41歳の女性などの報告があります。毒成分
ビタミンB6は、脳内の神経伝達物質の生成に重要な役割を担っています。ギンナンには、ビタミンB6と構造の似た4'-メトキシピリドキシンを含んでおり、摂取するとビタミンB6の働きを阻害し、数時間のうちにビタミンB6欠乏症となり、中毒になると考えられています。銀杏食中毒とは
イチョウの種子である銀杏(ぎんなん)を多食すると、まれに食中毒を起こすことがあります。ぎんなんを食べる習慣がある日本(症例報告データベースへ)、中国で食中毒が報告されています。銀杏食中毒の特徴
症状
重篤な場合、強直性及び間代性痙攣を伴い、意識を失うこともあります。死亡例も報告されています。中毒を起こしやすい人
小児(5歳未満)に多く、報告されている全患者の70%以上が10歳未満のこどもです。大人の場合には、かなり多量に摂取した場合に限られています。https://www.hoku-iryo-u.ac.jp/~wadakg/keyword/ginkgofoodp.html
ギンナンの食べても問題ない量
では、どれくらいの量を食べると症状がでるのでしょうか?
いくつ食べたら中毒になるか,という問題はまだわかっていませんが,報告例のほとんどは小児です.死亡例には15粒から574粒の報告があり,中毒量は小児で7~150粒,成人であれば40~300粒程度であるといわれています2,3).ぎんなんの塩炒り40粒くらいなら,お酒のつまみとかで出てきたら普通に食べてしまいそうですが,枝豆やピスタチオ感覚では危ないようです.
【第50回 ぎんなんを食べ過ぎると?】こんなにも面白い医学の世界 からだのトリビア教えます|プライマリケアと救急を中心とした総合誌:レジデントノートホームページへようこそ - 羊土社
15粒、と聞くと普通に食べてしまいそうな感じがします。たくさんの量を一気に摂取することは避けた方がよいようです。
イチョウの葉には種類がある!?
実はイチョウの葉っぱには数種類のカタチがあるって気づいていましたか?
イチョウの葉には、切れ込みがあるものと、切れ込みがないものがあります。切れ込みが葉の真ん中に入っているものを「ズボン型」、複数入っているものを「手のひら型」と呼び、切れ込みがないものを「扇型」と呼びます。
言われてみるとそうかも知れません。いくつかイチョウの葉の画像を貼ってみます↓
確かにイチョウの葉の形にはいくつかの種類があるようです。
そしてこの葉っぱの形がイチョウの樹の雄雌を見分ける手がかりという話があります。
実は切れ込みのある葉は「雄」で切れ込みのない方は「雌」という、驚きの説があるというのです。
イチョウの雄と雌を見分けられる?
ところでよくイチョウには雄株と雌株があると聞きますが、どうやったら見分けられるのでしょうか。
雄・雌で違うというのは俗説
『イチョウは雄雌異株、つまり「オス」「メス」があります。
イチョウの葉の形で、オス・メスが違うという説がありますが、これは俗説です。葉の形では全く見分けられません。ただし、メスの木の葉の方がオスの木に比べると、2割ほど大きな葉をしているようです。これは実をつけるために、そのぶんのエネルギーを光合成で生産しなければならないからだと思われます。』できた時期で形が変わる?イチョウの葉の不思議 - ウェザーニュース
葉の形でイチョウの雄雌が区別する方法については、いろんな説があるようですが、確かなところは分かっていません。よく言われるのは、切れ込みの深い葉をつけるのは雄株だという説ですが、これは雄株の特徴と言うよりは、若い枝の葉の特徴です。
花や実以外で雄雌を区別できるかどうかということでは、樹形や枝ぶりによる区別は、かなり信頼できると思います。特に、青年期の株で特徴が顕著です(老木になると分かりにくい)。
雄株は、主枝が斜め上方に立ち上がり、主枝の数も小枝の数も多く、樹形が整って
いるという感じが強い。雌株は、主枝の数が少なく、水平に出て、小の先端が垂れる
傾向が強い。ただし、この雄的傾向・雌的傾向は強いものと弱いものがあり、典型的なものは容易に区別できますが、中間的で区別の困難なものもあります。ひとつの株で、雄花も雌花もつける株もあります。
どうやら見た目だけでは見分けはつかない、ようです。
ギンナンの栄養価
ギンナン 100gあたり
- エネルギー・・・・・・・・・・・・168 kcal
- たんぱく質・・・・・・・・・・・・4.7 g
- 脂質・・・・・・・・・・・・・・・1.6 g
- 炭水化物・・・・・・・・・・・・・34.8 g
食物繊維・・・・・・・・・・・・1.6 g- カリウム・・・・・・・・・・・・・710 mg
- マグネシウム・・・・・・・・・・・48 mg
- リン・・・・・・・・・・・・・・・120 mg
- 鉄 ・・・・・・・・・・・・・・・1 mg
- 亜鉛・・・・・・・・・・・・・・・0.4 mg
- 銅 ・・・・・・・・・・・・・・・0.25 mg
- β-カロテン(ビタミンA)・・・・・・290 μg
- α-トコフェロール(ビタミンE)・・・2.5 mg
- ビタミンC・・・・・・・・・・・・23 mg
ギンナンの注目したい栄養素
美肌効果のあるビタミンC
ビタミンCは美肌効果が期待できる栄養素です。ビタミンCは、骨や皮膚などに弾力を与えるコラーゲンを作るために欠かせません。ほかに、ビタミンCには以下のような効果もあります。
- 毛細血管や歯・軟骨などを維持する
- 皮膚に生成されるメラニン色素を抑制し日焼けを防ぐ
- 免疫力を維持する
ビタミンCには強い抗酸化作用もあり、体内で過酸化物質の生成を抑え、老化を防止する効果が期待できます。美肌を目指すには必要不可欠なビタミンCですが、ヒトの体内では生成できないため食事からの摂取が必要で、水溶性のため体に貯蓄もできません。一度にたくさん摂るのではなく、こまめに摂ると効果的でしょう。
むくみ・高血圧予防のカリウム
カリウムはむくみ・高血圧の予防効果があります。体内では、ナトリウム(塩分)とカリウムのバランスが保たれています。十分にカリウムを摂取すると、体内で水分をため込む性質があるナトリウムの排出を促せるのです。体内のナトリウムと水分が尿として排出されると、むくみがとれ、血管内の水分も減って高血圧予防にも繋がります。骨を強くするリン
リンは、体内でカルシウムの次に多いミネラルです。カルシウムとともに骨や歯を構成していて、骨を強くするために欠かせません。また、リンは細胞膜やエネルギー産生にも一役かっています。現代の食生活では不足しにくいものの、リンが不足すると骨がもろくなり、エネルギー不足になる可能性があります。貧血防止効果の鉄
鉄は、貧血を防止する働きがあります。赤血球に含まれるヘモグロビンは、酸素を肺から全身へ運ぶときに必要なたんぱく質で、構成成分として鉄が含まれています。鉄が不足すると十分な酸素が体中にいき渡らず、貧血のリスクが高まります。食事から鉄を効果的に吸収するためには、ビタミンCやたんぱく質と一緒に摂取するとよいでしょう。悪玉コレステロール・中性脂肪減少効果があるレシチン
特殊な脂質の一種であるレシチンは、悪玉コレステロール・中性脂肪を減少させる効果があります。LDLコレステロール(悪玉コレステロール)は、血液中に蓄積すると動脈硬化を生じかねません。レシチンは、コレステロールが血管壁に蓄積することを予防する作用があるのです。さらに、レシチンが充足していると、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が増加し、血液内のバランスを保つために悪玉コレステロールや中性脂肪が減少します。銀杏の薄皮にもある驚くべき効果
銀杏の薄皮には抗酸化物質が含まれており、老化を防ぐ働きがあるといわれています。さらに、血行促進作用があり、疲労回復を助ける効果が期待できるでしょう。しかし、薄皮は食べにくい部分なので、食用にするには以下のような工夫が必要です。
★Grrrrrrrrrr!(グォーーー)ポイント★
ホクホクとした食感と独特に苦味が美味しいギンナン。美味しくてもたくさん食べるのは控え、秋の旬の味を楽しみましょう。
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)
管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・病態栄養専門管理栄養士・日本化粧品検定1級
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。