毎月季節の野菜を紹介するシリーズ★ その名も「旬の役菜」。
私は健康なカラダづくりに役立つ野菜を【役菜やくさい】と呼んでいます。季節ごとに旬を迎える野菜たちが持つ特徴的な栄養や成分を充分に引きだして美味しく楽しく頂きましょう。6月の役菜はオクラです。
2000年以上前から栽培されていた
原産地はアフリカで、紀元前のエジプトで既に栽培してた記録が残っているほど、オクラは長い間愛されてきた野菜です。なんとなく日本語のように聞こえるオクラですが、英語のokraが素になっています。オクラと呼ばれるようになったのは今から40年程前の昭和50年頃でそれまでは「ネリ」と呼ばれていたそうです。
ネバネバの正体
オクラと言えば「ぬめり」。あの粘り気のある独特のぬめりの正体は主に水溶性食物繊維の「ペクチン」という成分です。
オクラの主な「役菜」栄養成分
ペクチン 腸内環境を整える、血糖値の上昇を抑える
β―カロテン 抗酸化作用、免疫力強化
カルシウム 骨を丈夫にする、高血圧抑制、骨粗しょう症予防
ビタミンC 抗酸化作用、風邪予防、美肌効果
カリウム 体内水分調節、高血圧抑制、筋肉の正常化
ペクチン(腸内環境を整える)
オクラには100g中5.0gの食物繊維が含まれていています。うち1.4gが水溶性でネバネバ成分です。特にペクチンは強い粘り気を持っていて老廃物に吸着して腸内環境を整えてくれるだけでなくコレステロールを抑えてくれる働きも期待できます。ペクチンは細胞壁の中にあるのですがカットしたオクラを水に浸けておくと水の中に溶け出してしまいます。
β―カロテン(抗酸化作用、免疫力強化)
オクラ100gには670mcgのβ―カロテンが含まれていて、これは生のトマト540mcgの約1.2倍です。血管や細胞を傷つけてしまう活性酸素からカラダを守るのがβ―カロテンの持つ抗酸化作用です。β―カロテンは脂溶性なので油と相性がいい成分です。
カルシウム(骨を丈夫にする、高血圧抑制、骨粗しょう症予防)
骨を丈夫にし高血圧を抑制するカルシウムがオクラ100gあたり92mgも含まれています。カルシウムを含む野菜のイメージが強いホウレンソウが49mgなので、オクラの方が約1.9倍も多く含んでいるのです。
オクラこそベジファースト。
食事のいちばん最初に食べるベジファーストに「ペクチン」を多く含んだものオクラなどを食べると、血糖値の上昇を抑え、インスリンの分泌も抑制されることがわかっています。さらに食物繊維として腸内環境を整えてくれるので、オクラはベジファーストにぴったりな野菜です。
オクラの使い方。
細かく切るほどにぬめりが出てきます。ネバネバ成分「ペクチン」は加熱に強く、炒め物、煮物、焼き物など料理の幅が広いのも特徴のひとつです。またペクチンは酸性にも強いので酢の物なども失われることはありません。
よいオクラの選び方。
①緑色が鮮やかで濃いもの
②表面がびっしり産毛で覆われているもの
③オクラは育ちすぎると味わいが落ち苦味が出てきます。小ぶりで張りのあるものを選びましょう。
オクラの保存方法。
寒さに弱いので5度以下になる冷蔵室ではなく野菜室に入れて保存しましょう。切ったものは傷みが早いので2日以内に食べきりましょう。長期保存したい場合は「冷凍」しましょう。塩でもんで産毛を落とし、水で洗い、きちんと拭き取ってからバットに並べて冷凍します。凍ったら保存袋へ移して保存します。
赤いオクラ
鮮やかな緑が印象的なオクラですが、赤いものもあります。赤いものは加熱してしまうと、緑色になってしまうだけでなくなんだか汚い感じの色になってしまいますので、注意です。緑のオクラに比べて少し固い感じのものが多いのですが、せっかくの紅色を楽しみながら生で食べましょう。
オリジナルレシピ
なんと言ってもネバネバなのがオクラの特徴。今回は新しいアイディアとしてのオクラの楽しみ方を2つ紹介します。どれもとても簡単ですぐに作れます。
オクラとミョウガの初夏の酢の物
何かさっぱりしたものが食べたいそんな初夏にぴったりの酢の物です。オクラのネバネバで元気補充!みょうがも添えてさらにさっぱり感アップ!低エネルギー×低脂質なのでダイエットにも勧めたい一品です。
1食分あたり
エネルギー 26kcal
たんぱく質 1.4g
脂質 0.2g
炭水化物 5.9g
食物繊維 3.2g
食塩 0.3g
材料(2人分)
- オクラ・・・・・・・・・・10本
- ミョウガ・・・・・・・・・1本
- ワカメ・・・・・・・・・・20g
- 酢・・・・・・・・・・・・大さじ1
- 砂糖・・・・・・・・・・・小さじ1
- 醤油・・・・・・・・・・・小さじ1/2
作り方(調理時間:10分)
- オクラを茹でて乱切りにする。
- ミョウガは斜めに薄切り、ワカメは一口大に切る。
- ボウルにオクラ、ミョウガ、ワカメを入れ、調味料と和える。
オクラとヒジキのベジファースト・サラダ
食物繊維豊富なオクラとヒジキとタマネギでさらにパワーアップしたベジファースト用サラダです。さらにオクラとヒジキはカルシウムも豊富。見た目よりもボリュームを感じるのでぜひ試して欲しいサラダです。
1食分あたり
エネルギー 72kcal
たんぱく質 3.2g
脂質 4.7g
炭水化物 5.4g
食物繊維 2.6g
食塩 0.5g
材料(2人分)
- オクラ・・・・・・・・・・6本
- ヒジキ(乾燥)・・・・・・2.5g
- 玉ねぎ・・・・・・・・・・1/4個
- 削り節・・・・・・・・・・5g
- ポン酢・・・・・・・・・・大さじ1/2
- マヨネーズ・・・・・・・・大さじ1
作り方(調理時間:10分)
- オクラはゆでて輪切りにする。
- タマネギは薄切りにする。ヒジキも茹でてざるにあげ、水気を切る。
- ボウルにオクラ、タマネギ、ヒジキと削り節を入れる。
- ポン酢、マヨネーズを加え和えれば完成。
★ちゅー!ポイント★
ネバネバは身体にいい!なんて訊いたことがあるかも知れません。オクラのネバネバ成分の正体は食物繊維の仲間のペクチン。腸内を掃除してくれたり、コレステロールを抑えてくれるので、この時期、ぜひ食べてほしい旬の野菜です★
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・日本化粧品検定1級
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。