近頃は雪が降ったりと思えば小春日和だったり、みなさん身体の調子はいかがですか?ただでさえ新型コロナウイルス感染症が拡大している中です、健康管理、維持が大切です。
街には葉っぱのない街路樹が目立ちます。特に福岡は冬場は曇りがちで関東のように突き抜けるような青空の日はまずありません。どちらかというとどんよりな日が多いです。咲いている花も少なくて、街中がなんだか灰色っぽく見えます。
ですが、実は冬場って意外と旬を迎える野菜が多いのです。
中でもホウレンソウは有名ですね。
ホウレンソウ(菠薐草、法蓮草、赤根草、学名:Spinacia oleracea)
ヒユ科アカザ亜科ホウレンソウ属の野菜。雌雄異株。ほうれん草とも表記される。高温下では生殖生長に傾きやすくなるため、冷涼な地域もしくは冷涼な季節に栽培されることが多い。
ーーー栄養たっぷり!
というイメージの強いホウレンソウですが、独特のえぐみ=灰汁あくがあって苦手という人も多いのかも知れません。食べると何だか歯がきしむようなあの感じ。その原因はずっとホウレンソウに含まれているシュウ酸と呼ばれる物質が原因とされてきました。
シュウ酸
シュウ酸(シュウさん、蓚酸、英: oxalic acid)は構造式 HOOC–COOH で表される、もっとも単純なジカルボン酸。二つのカルボキシ基を背中合わせにくっつけた分子である。
(中略)
命名の由来にもなったように、植物に多く含まれる。漢字の「蓚」はタデ科のスイバを意味し、また中国語でも植物由来の「草酸」の名を持つ。タデ科(他にギシギシ、イタドリなど)、カタバミ科、アカザ科(アカザ、ホウレンソウなど)の植物には水溶性シュウ酸塩(シュウ酸水素ナトリウムなど)が、サトイモ科(サトイモ、ザゼンソウ、マムシグサなど)には不溶性シュウ酸塩(シュウ酸カルシウムなど)が含まれる。とろろが肌に付くと痒みを生じるのは、シュウ酸カルシウムの針状結晶が肌に刺さって刺激を受ける為である。
カルシウムイオンと強く結合する性質(劇性)があり、体内に入るとアシドーシスに傾いた血液中でカルシウムと結合して結石などを生じる。このため毒物及び劇物取締法により劇物(毒物ではない)に指定されている。
還元性があるため、滴定によく使われる。また、染料原料や漂白剤としても用いられる。
実はどうやらシュウ酸だけが原因ではないようなのです↓
上記のように、シュウ酸含量が高ければえぐみが強いとはいえない例もある。堀江・伊藤(2006a)は、シュウ酸は唾液中のカルシウムと口腔内で結合し結晶化することにより、口腔内を刺激すると考察した。そして、ほうれんそう茹で汁を舐めた時に舌に残る感覚をシュウ酸味とし、普通にほうれんそうを食べた場合にはシュウ酸味はクエン酸など他の成分にマスクされてあまりシュウ酸味は感じないと考察した。そして、えぐみはシュウ酸味とポリフェノール等に由来すると推測される苦味とに分離して考察すべきと主張している。
ほうれんそうのえぐみはシュウ酸によるものと考えられてきたが、必ずしもシュウ酸の含量だけを測定すればえぐみが評価できるわけではない。
そしてシュウ酸はホウレンソウだけでなく、タケノコ、ショウガ、ミョウガ、コンニャクイモ、サトイモなど多くの植物に含まれていますが、残念ながら私たちにとっては栄養ではありません。
もちろんホウレンソウにはたくさんの栄養が含まれています。特に冬場のホウレンソウは栄養価が高くなります、その仕組みは↓
ホウレンソウがおいしくなる時期は冬である。
収穫前に冷温にさらすこともしばしば行われ、これらの処理は「寒締め(かんじめ)」と呼ばれている。これは農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構)(旧東北農業試験場)が確立した栽培方法である。
ホウレンソウが収穫可能な大きさに育ったら、ハウスの両袖や出入り口を開放し、冷たい外気が自由に吹き抜けるようにする。このまま昼夜構わず放置する。ホウレンソウは約5℃を下回ると伸長を停める。
寒締めを行ったホウレンソウは、低温ストレスにより
- 糖度の上昇、
- ビタミンC、
- ビタミンE、
- βカロチンの濃度の上昇
が起こる。 寒締め栽培は平均気温が低い群馬県、青森県などで盛んに行われている。
ホウレンソウはビニールハウスでも育てることが出来る。
つまり「あえて寒く冷たい外気に晒す」ことでホウレンソウは生長用の養分を「蓄える」ことで栄養価が高まる、という仕組みです。
東峰村小石原地区で栽培される「寒ちぢみほうれん草」。同地区では3年前から栽培を行なっています。
その特長は、
1.横に広がっている
2.縮んで肉厚になり丸みを帯びた葉
3.甘くてアクがない――こと。
ホウレンソウの低温に強い性質を生かし「寒じめ栽培」を用いています。冬場は氷点下が続くという、山間部ならではの地形を利用した栽培法です。
低温にさらすことで、凍るのを防ぐため体内養分を濃縮して葉が縮み、デンプンなどの糖質化が進んで甘いホウレンソウとなります。
より気温が下がるほど糖度が増すことも特徴で、糖度の高いときで、10度を超えます。トマトなどと同じくらいの甘さがあり、その甘さとアクのなさから、サラダに入れるなど、生でもおいしく食べられるホウレンソウとして、近年、人気を集めています。
また、おいしいだけでなく、寒さなどのストレスによって酸化現象が起こるため、抗酸化作用のあるビタミンCやE、カロチンなどを自分の力で増やします。特にビタミンCについては、冬どりホウレンソウの方が約3倍も多く含んでいます。
ちなみに福岡県は全国で7位、特に久留米市はホウレンソウの市町村生産量ベスト3に入る一大生産地です。
先日、天神のデパートの野菜売り場でちょっとだけびっくりしたことがありました。ホウレンソウは2021年1月の今、1袋あたり200円でした。
ーーーあれ?ちょっと高いなあ
と思っていたのですが、そのホウレンソウのそばに半額の100円で売っているホウレンソウがありました!それがこちら↓
チヂミホウレンソウ です。(チヂミホウレンソウのお話は以前記事にしました↓)これが3つで100円でした!
ーーー同じホウレンソウなのに、しかも寒締めをしたので栄養価も高くオイシイのに?
と思って家に帰ってホウレンソウの相場を調べたところ、
ほうれん草・1袋
(栃木・群馬・茨城・埼玉・岩手)
最新価格: 189円(税込 204円)(前週比: -15円↓)
平均価格: 193円 (2021年)
前年平均: 152円 (2020年)(前年同日比: +12円)
最安値: 97円 (2019-05-11)(今年: 189円 +92円)
最高値: 297円 (2018-01-14)(今年: 204円 -93円)
「ほうれん草・1袋」の価格推移・平均相場と先週・先月・去年との値段比較|野菜の価格推移が一目で分かる!主婦の味方「おねだんノート」
とありました。
私は2品つくってみました↓
みなさん、もしホウレンソウを買うのでしたらチヂミホウレンソウ(寒締めホウレンソウ)が狙い目かも知れませんよ。見た目は悪いかも知れませんが、むしろ栄養価が高く甘くてオイシイです!超オススメです!
#なお、値段は時期が場所によって変化しますのでご了承ください。
★モゥー!ポイント★
ホウレンソウを思いっきり推しましたが、どうしても苦手な人に救済!コマツナという手があります!コマツナについてはこちらをご覧ください↓
新型コロナウイルス感染症ばかりに注目が集まりがちですが、インフルエンザやいわゆる風邪にも注意が必要。しっかり冬場の野菜をたくさん摂って元気に、健康に過ごしましょう。
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・日本化粧品検定1級
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。