今週のお題「きれいにしたい場所」
あなたは魚肉ソーセージ、好きですか?
牛や豚、鶏とは違ったあの味わい、独特ですよね。
魚肉ソーセージ(ぎょにくソーセージ)
魚肉練り製品の一種で、魚肉のすり身をケーシングに入れ加熱・滅菌した、ソーセージに似た形の加工食品。フィッシュソーセージとも言う。一部に「ぎょにそ」「ぎょにー」と俗な略し方をする人や、稀に「魚ソ」などと略す人もいる。JASの規格では、魚肉及び鯨肉の原材料に占める重量の割合が50%以上のものを「魚肉ソーセージ」としており、15%未満の「ソーセージ」や15%以上50%未満の「混合ソーセージ」とは区別されている。
魚肉ソーセージは魚肉のすり身が原料になっています。すり身と言えば、先日色々なすり身を紹介しました↓
今回は魚肉ソーセージについて見ていきましょう。
魚肉ソーセージとは
食べたことはあっても、よく考えたことがないのが魚肉ソーセージかも知れません。詳しくみていきましょう。
魚肉ソーセージとは
魚肉ソーセージは、普通魚肉ソーセージと特種魚肉ソーセージに大きく分類できます。 普通魚肉ソーセージとは、魚肉を挽肉もしくはすり身にしたもの、 または食肉を挽肉したものを加えて、調味料および香辛料で調味し、 デンプンや植物性タンパクなどの結着材料、食用油脂、酸化防止剤、保存料などを加え、 または加えないで練り合わせたものをケーシングに充填し加熱したものをいいます。
また、特種魚肉ソーセージとは、練り合わせた魚肉に、 チーズ、グリンピース、玉ねぎ、荒挽き肉などの種ものを加えて混ぜ合わせたものを ケーシングに詰めて加熱したものです。
いずれも製品重量のうち、魚肉は50%以上、植物性タンパク質は20%以下、 脂質2%以上、デンプン10%以下と日本農業規格(JAS)により定められていましたが、 「魚肉ハム・ソーセージ」のJAS規格は平成14年に廃止されました。
魚肉ソーセージは、戦後の食料不足の時代に誕生した比較的新しい水産加工品であり、 現在では大手の水産加工品製造メーカーが主に作っています。生産と消費の動向
戦後、魚肉ソーセージの生産は1965年(昭和40年)頃の約18万8,000tをピークに 次第に減少し始め、1990年代以降は6万~7万t台とピーク時の約3分の1になっています。原料選択のポイント
原料魚は、すけとうだらすり身が主流ですが、近年は赤身魚のDHAやEPAなどの 機能性成分が注目され始めてから、健康志向に人気が高まっているため、マグロ、アジ、 イワシ、サバなどの赤身魚もさらに多く利用されるようになりました。また、最近は、 イトヨリダイ、ホッケ、サケなども利用したさまざまなバリエーション豊かな製品も登場し、 魚種の特性を活かしたソフトな魚肉ソーセージ製品も作られています。 また、それらの肉色も魚種に由来した乳白色、茶色、灰色、ピンク色などさまざまな製品があります。使用する副原料
副原料にはさまざまな食材が利用されています。 特に、特種魚肉ソーセージには種ものとしてさまざまな食材が使用されています。 具体的には、鶏肉、マトン、豚肉などの粗挽き肉やその肉片、チーズ、ラード、たまねぎ、にんにく、 トウガラシ、ザーサイ、グリンピース、にんじんなど野菜類などです。
また、そのほかに豚脂肪、魚油(DHA、EPA)、デンプン、砂糖、塩、香辛料 (ジンジャー、ペッパー、ナツメグ、シナモン、コリアンダ、オールスパイスなど)、 魚醤、魚介エキス類、アミノ酸調味料など利用できる原材料は多く、それゆえに、 さまざまな魚肉ソーセージの製品があります。
ここでもスケトウダラが出てきました!
スケトウダラ (介党鱈、鯳、'Gadus chalcogrammus'、英: Alaska pollock)
タラ科に属する魚類。スケソウダラ(介宗鱈・助惣鱈)とも呼ばれる。北太平洋に広く分布するタラの一種で、重要な漁業資源となっている。
魚肉ソーセージのつくりかた
魚肉ソーセージってどんな風にして作るのでしょうか。
魚肉ソーセージ 製法
スケトウダラなどの冷凍すり身50-60%に、豚脂、調味料と香辛料を混ぜ、練り合わせたものをケーシング(=密閉)し、レトルト殺菌釜で高圧高温殺菌を行って出来上がる。必要に応じてデンプン・植物性タンパク・卵白などの結着剤、および酸化防止剤を加えることもある。 豚由来成分を使わないなどイスラム教のハラル認証を得た魚肉ソーセージも日本企業により生産されている。
↓魚肉ソーセージメーカーのサイトにイラストで解説がありました(わかりやすい)。
魚肉ソーセージの歴史
意外と長い歴史があるようです。
魚肉ソーセージ 歴史
洋食の普及への対応や魚肉の保存性向上を狙い、大正時代から日本各地の水産試験場で魚肉を使用したハム・ソーセージ風食品の開発が進められた。ツナハムについては第二次世界大戦前から実用化されたが、魚肉ソーセージは1949年(昭和24年)、愛媛県八幡浜市(当時は保内町)の西南開発工業協同組合が初めて試作に成功した。同組合は1951年(昭和26年)、西南開発株式会社として創立し、「スモークミート」の名で商品化した。翌1952年(昭和27年)には明治屋と契約し全国発売を開始した。
日本最大のトロール基地であった北九州市戸畑区(当時は福岡県戸畑市)のニッスイ(当時は日本水産株式会社)は、1947年(昭和22年)にグチを材料に魚肉ソーセージを試作。その後、材料をグチよりも安価で量が確保しやすいマグロに置き換え、ツナソーセージを発売。1951年(昭和26年)には、生産量が1日2~3万本を出荷。1952年(昭和27年)には、常温保存期間の長期化が実現し、本格的な全国展開の事業化に成功した。
その後各社の参入があったが、生産量が大幅に増えた原因として水爆実験の影響が挙げられる。1954年(昭和29年)3月1日、南太平洋ビキニ環礁で行われた 15 Mt の水爆実験(キャッスル作戦)により、日本の「第五福竜丸」をはじめ多数のマグロ漁船が放射性降下物(いわゆる「死の灰」)を浴び、被曝した。処理のため多量の放射能汚染マグロが水揚げされたことから消費者が忌避する事態となり、マグロの価格は大暴落した。苦境に陥った水産各社は、余剰マグロを原料とした魚肉ソーセージの生産に力を入れるようになった。安価な魚肉ソーセージは、学校給食に納入されるなど、「西の横綱がインスタントラーメンなら、東の横綱は魚肉ソーセージ」と呼ばれた程の大衆食となった。1962年(昭和37年)には魚肉ソーセージに関する日本農林規格(JAS規格)が制定された。1972年(昭和47年)には、魚肉ソーセージの国内生産量 (魚肉ハムを含む、以下同様) は18万tを超えてピークを迎えている。
しかし、生産量ピーク2年後の1974年(昭和49年)、使用されていた食品添加物の保存料・フリルフラマイド(AF2)に発癌性・催奇性が指摘され、使用禁止となってしまう。同年、業界は魚肉ソーセージへの防腐剤の使用を取り止め、代わりに「高温高圧殺菌」「pHや水分活性を調節して加熱殺菌」「従前同様の加熱殺菌をして10℃以下で流通保存」のいずれかの方法を採用する事とした。多くのメーカーは「高温高圧殺菌」を採用している。1974年(昭和49年)の生産量は12万tへと急落している。
さらに、1976年(昭和51年)にはアメリカとソ連が相次いで排他的経済水域の設定を宣言する、いわゆる200海里問題が発生したため、そのころ主原料となっていたスケトウダラの価格が暴騰。原料コストの高騰という問題が起こった。また、徐々に家庭へ冷蔵庫が普及し、低温輸送技術が進むにつれ、食肉および食肉加工品が普通に食卓へと並ぶようになり、魚肉ソーセージの保存食肉あるいは食肉代用品としての存在価値が減少、生産量を減らしていく。
その後、メーカー側の開発・販売努力 (カルシウムやDHA、ビタミン、コラーゲンといった有用成分の添加、アニメや子供向け特撮ヒーローのキャラクター採用) や、健康・ヘルシー志向 (低カロリー・低脂肪・高タンパク化) も手伝って、徐々に魚肉ソーセージが見直されるようになった。BSEや鳥インフルエンザなどで畜肉の安全性に疑問が呈された際にも、魚肉ソーセージが注目された。一時は需要が急増してフル生産体制になり、メーカーは当惑したという。
1990年(平成2年)以降の生産量は年間5万~8万tとなっている。
なんと、福岡県北九州市戸畑区が日本における魚肉ソーセージの発祥の地?!なんですね。そして「グチよりも安価で量が確保しやすいマグロ」というパワーワード。そして「死の灰」。魚肉ソーセージは様々な歴史に影響されてきたんですね。
第27回日本病態栄養学会年次学術集会
2024年1月末に京都で開催された「第27回日本病態栄養学会年次学術集会」に出席しました。
この時、企業ブースで入手したのがこちら↓
↑チーズかまぼことソーセージです。が、単なるチーズかまぼこととソーセージではないのです。「速筋タンパク」とあります。
↑速筋タンパクチームかまぼこ減塩MSC
↑速筋タンパクソーセージ減塩MSC
「速筋タンパク」。
とても気になるワードです。前回取り上げました↓
★Grrrrrrrrrr!(グォーーー)ポイント★
今回のラストはナゾの魚肉ソーセージの唄を紹介します↓
魚肉ソーセージの歌
るるるー るらら らららららー
魚肉 魚肉 魚肉ソーセージ
魚肉 魚肉 魚肉ソーセージ
さかなのすり身をよくねりあわせ
おいしい魚肉ができました
魚肉 魚肉 魚肉ソーセージ
魚肉 魚肉 魚肉ソーセージ
次回こそ「速筋タンパク」についてお話します。
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)
管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・病態栄養専門管理栄養士・日本化粧品検定1級
*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。