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適材適食 -てきざいてきしょく-

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633食目「ハンバーガーを食べましょう!という時代が来るかも知れない」植物肉・人工肉・インポッシブルバーガー・ビヨンドミート・ベジタリアンミートなどなど

「ハンバーガーを食べましょう!という時代が来るかも知れない」植物肉・人工肉・インポッシブルバーガー・ビヨンドミート・ベジタリアンミートなどなど【適材適食】小園亜由美(管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ)

 

「ハンバーガーと言えば食の欧米化の象徴。ファストフード、ジャンクフードの代表で肥満の原因。」と言われていた頃もあったな、なんてことになるかも知れません

 

https://assets.media-platform.com/gizmodo/dist/images/2019/08/02/190802_impossible_burger_king-w1280.jpg

でも! 時代は変わりました。我らがバーガーキングが、Impossible Foodのミート0パーセントパテを使った「Impossible Whopper(インポッシブル・ワッパー)」を売り出すんですって! 8月8日から米国の7000店舗で食べられるようになるらしいですよ〜。

 

www.gizmodo.jp

 

記事によると何とこの代替肉を使ったハンバーガー、普通の肉パテよりも

  • 脂肪・・・・・・・・-15%
  • コレステロール・・・-90%

しかも味は肉パテと区別が付かないということらしいのです! 

その秘密はヘムにあるんだそうです!ヘム?訊いたことあるようでないような。ヘムとは、

ヘム 

一般に,生体内に存在する鉄-ポルフィリン錯化合物をヘムと呼ぶ。プロトヘムはその代表的なもので,プロトポルフィリン IXと2価の鉄イオンとの錯化合物。褐色針状晶として得られ,酸化されやすく,鉄原子が3価に酸化されてヘマチンが,また塩素イオンの存在下では (クロロ-) ヘミンが得られる。逆にこれらのものを適当な条件で還元するとヘムをつくることができる。細胞中に遊離状態でも微量存在するが,多くの場合,蛋白質と結合してヘモグロビンやミオグロビンとして存在し,酸素の運搬や貯蔵に関与している。ヘム (プロトヘムも含む) には酸化還元に関係する酵素の補欠分子団となるものがある。このようなヘムを必要とする酵素をヘム酵素と呼ぶが,チトクローム系やペルオキシダーゼなどはその例。

ヘムとは - コトバンク

ヘモグロビンエーワンシー(HbA1c)って訊いたことありませんか?そう、採血をして血糖値を診る時に使います。直近数ヶ月の血糖の値を調べるための数値です。ヘムの場合は血糖は関係なくて、どちらかというとその赤い色、血液の色の方です。血液が赤いのは、赤血球の鉄分が酸素と結び付くことで赤く見えます。その鉄分がヘムに関係しています。

動物の体内にはヘム鉄というものがあり、これが肉を食べた時のあの独特の味わいに大きく関わっているそう。そこでこのヘム鉄を代替肉に取り入れることでよりリアルな肉感が出るんだそうです。

ちなみにこの代替肉パテを開発したのは米国カルフォルニア州のインポッシブル・フーズ社で商品名をインポッシブル・ミートと言うそうです。なのでバーガーキングで発売されるバーガーの名前がインポッシブル・バーガーと言うそうです。

インポッシブル(impossible)=不可能という意味。有名なハリウッドのスパイ映画のタイトルで有名になった英単語、ですね。

このインポッシブル・バーガーの代替肉パテですが、米国食品医薬品局(FDA)から販売許可が出ていて近々スーパーでも販売される予定なんだとか。

science.srad.jp

 

 

ーーえーー、でもなんかちょっと・・・。

そんな風に思うかも知れません。が、実はもう代替肉のウェーブは静かにやってきているようなのです。その一例として日経ビジネスのウェブサイトにも↓

business.nikkei.com

というように、実はフード界よりもビジネス界の方が先にざわついているようです(他にも検索すると出てきますよ)。次世代の食を担うのではないか、そんな風に書かれていることが多いです。

 

 

まずは気になる見た目について調べてみました。

実際には食べることはできないのでサイトを検索、こちらが見つかりました。

www.gizmodo.jp

記事によれば味も見た目も遜色なし!(というかとても美味しいようです)という感じのようです。

 

 

次に種類を調べてみましょう。

代替肉の種類です。まだ研究開発段階の新しい分野なので当然新しい用語が出てきます。

人工肉

食肉代替品(Meat analogue)。植物などを材料とするもの。培養肉(Cultured meat)。動物から組織または細胞を取り出し、培養して得られる人工的な食肉。

人工肉 - Wikipedia

 

培養肉

動物の個体からではなく、可食部の細胞を組織培養することによって得られた肉のことである。動物を屠殺する必要がない、厳密な衛生管理が可能、食用動物を肥育するのと比べて地球環境への負荷が低い、などの利点があり、従来の食肉に替わるものとして期待されている。現在のところ、高価であることが培養肉の課題の1つである。しかし、技術の発展によって、従来の食肉と同等程度までに低価格化することができると予測されている。一方で、人工的に生産された肉を食することに否定的な意見もある。

培養肉 - Wikipedia

 

植物肉

鳥獣の身を使わず、豆類などから食肉や肉加工品に似せた味わいを持たせた「植物肉」が開発・販売されている。将来予測される食肉不足、健康志向や菜食主義から鳥獣肉を避ける消費者向けの需要を見込んでいる。

食肉 - Wikipedia

なるほど。人工肉のひとつとして培養肉や植物肉があるんですね。

現時点でメジャーなのは

インポッシブル・フーズ社

カリフォルニア州レッドウッドシティに本部を置く植物由来の人工肉や乳製品を製造・開発するアメリカ合衆国の食品テクノロジー企業。アメリカと香港の1000以上のレストランで同社の人工肉を使用した「インポッシブル・バーガー」を提供している。

ビヨンド・ミート社

カリフォルニア州エル・セグンドに本部を置く植物由来の人工肉を製造・開発するアメリカ合衆国の食品テクノロジー企業。2013年より全米のホールフーズ・マーケットで販売されている。

の2社の名前をよく見かけます。

 

 

ではいよいよカロリーについて調べてみたいと思います。

素晴らしいサイトがありましたので引用しながら見ていきます。

各100gあたりのエネルギー量

 

インポッシブル・バーガー・・・・212.4 kcal(植物由来)

ビヨンドミート・・・・・・・・・238.9 kcal(植物由来)

ベジタリアンミート・・・・・・・211.3 kcal(植物由来)

ビーフパティ(一般的なもの)・・254.0 kcal(動物由来)

 

efj.themedia.jp

あ、あれ???意外と差がないですね!植物性と動物性にエネルギーの差は殆どありません。

 

なぜでしょう。

植物性の場合原料は「ダイズ」が主になるようです。ダイズはとても栄養価の高い食材です。特に良質なタンパク質を含んでいます。ほかにも多くの栄養を含んでいるのですが、脂質も多く実は意外と高カロリーなのです。

*ダイズについては以前の記事を↓

 

 

「高カロリー」とは言え、ご飯1膳を普通に盛って=140gで235 kcalなのでそれほどでもないのです。(ちなみに同じ100gであれば168kcalになります)

イネ科の穀物全般を対象に、特に米に、水を加えて煮たり蒸たりして炊(焚)いた食品のこと。

 100 gあたり

エネルギー・・・・・・・168 kcal

脂質・・・・・・・・・・0.3 g

 飽和脂肪酸・・・・・・0.1 g

 多価不飽和脂肪酸・・・0.1 g

 一価不飽和脂肪酸・・・0.1 g

ナトリウム・・・・・・・1 mg

カリウム・・・・・・・・29 mg

炭水化物・・・・・・・・37 g

 水溶性食物繊維・・・・0 g

 不溶性食物繊維・・・・0.3 g

タンパク質・・・・・・・2.5 g

 

ビタミンC・・・・・・・0%

カルシウム・・・・・・・3 mg

鉄・・・・・・・・・・・0.1 mg

ビタミンB6・・・・・・ 0 mg

マグネシウム・・・・・・7 mg

飯 - Wikipedia

 

人工肉も含めた肉と飯の違いは「脂肪」にあります。飯は脂肪もタンパク質も少なくその分炭水化物が多く含まれています。 

 

 

水以外の飲食物にはエネルギー=カロリーが含まれています。 必要なカロリーは人によって異なります。また、人によっても活動内容が日々違います。昨日と今日では必要なカロリーは正確には異なります。が、概ね年齢や性別、体格や生活内容で必要なカロリーは計算で出すことはできます。

こちらを参考に出してみてください↓

www.med.or.jp

 

おおよその1日に必要なカロリー「推定エネルギー必要量」が判りました。次に栄養です。飲食物にはカロリーの他に栄養素が含まれています。栄養素は多くの種類と分類があります。そのうち炭水化物、タンパク質、脂肪は三大栄養素と呼ばれています。

これらの栄養素を1日に必要なカロリーの中でバランスよく摂取することをバランスの良い食事、と言います。多過ぎても少なすぎてもバランスが良いとは言えません。

 

ハンバーガーとご飯をそれぞれ同じ500kcal分食べたとします。すると、

ハンバーガーの時は・・・・脂質が多め

ご飯の時は・・・・・・・・炭水化物が多め

となるのです。つまり同じカロリー数でも食べるものによっては摂れる栄養素が異なってくる、という事です。

 

多くの場合、カロリーに注目が集まります。何故なら「太るから」だと思います。確かにカロリーオーバーは肥満の原因になりやすいですが、カロリーの他に栄養素にも注目しなければなりません。栄養素は身体を作り維持するために必要だから、です。

 

よく「色色な食材をまんべんなく食べましょう」と言われるのは食材・食品にはそれぞれ異なった配分の栄養素が含まれているからです。色色な食材を摂ることで、様様な栄養素を摂ることができるようになるのです。

 

さて、この近未来的ハンバーガーですが、何で作られているのか詳細は分からないので正確には言えませんが、少なくともご飯はお米=炭水化物中心になりますが、ハンバーガーには肉の他にレタスやトマトやタマネギやピクルスなど色色なものは入っています。エネルギー量が同じであれば、ハンバーガーの方がより多くの栄養素を含んでいると言えます。

 

 

私が面白いと感じたのは、ヘム鉄を加えると肉のように味わえる点です。食事は味や香り、見た目、そしてシチュエーションも含めて楽しんでいるのです。まったく違う食材だとしても、見た目や香りに区別がなく味も同じ場合、それを肉だと勘違いする、その肉らしさをアップするのがヘム鉄というのがとても興味深かったです。

 

今は開発段階なので、将来的にはカロリーをぎゅっと抑えたものも生まれるかも知れませんね。とても楽しみです。

 

植物を原料に人工的に作られた肉。見た目も味も香りも食感もほとんど変わらない。あなたはどう感じましたか?食べますか?

 

 

  

★ぶー!ポイント★

 

ハンバーガーを食べる時、多くの場合、サイドメニューに注意が必要です。フライドポテトやチキンナゲットなど実はサイドメニューの方が高カロリーの場合が多いのです。ドリンクも炭酸飲料やシェイクなども高カロリーです。高カロリーだけではなく栄養素が偏る場合が多いのです。サイドメニューにしっかりたっぷり野菜を使ったサラダや飲みものはストレートティーやブラックコーヒーを、ミルクなんかは多くの栄養素を含んでいます。

ハンバーガーこそ「食べるコツ」を知っているのと知らないので大きな差が生まれる食べものかも知れません。

  

ー適材適食ー

小園亜由美(こぞのあゆみ)|管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士

▲YouTube【こぞのあゆみチャンネル】では野菜や果物など食べものに関する情報を動画配信しています★

▲YouTubeでは野菜や果物など食べものに関する情報を動画配信しています★

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*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。